入賞・入選の皆様、本当におめでとうございました。
世界情勢の不安、円安、コロナ禍等々で応募点数は大きく減少するのかと心配しておりましたが、例年並みの応募数となり、ひとまず安堵しております。
今回の応募作品の印象は東京を中心とした大企業の広告が非常に少なく、変わって地方の広告の多さと力強さが心に残りました。地方の時代とはいえ、大企業のCMに比べてグラフィックの広告が減って来ている事は日本の広告の構造的な変化かもしれません。
また、WEB上で審査した時とプリントアウトした作品を見た時ではその印象に大きな差異がある事も驚きでした。APAアワードは一昨年よりWEBから応募して頂き、オンライン審査の上、最終的に残った作品をプリント審査しておりますが、今回はその印象の差異が著しく、これについては審査する側にとって今後の課題となると思います。
経済産業大臣賞:百々新氏「万博記念講公園 ポスター(太陽の塔シリーズ)」は日本人の見慣れた太陽の塔を絶妙に5種に切り取り、しっかりしたライティングで改めて唯一無二の芸術作品である事を再認識させてもらいました。背景のトーンも重厚で素晴らしい作品です。
APA特選賞:(株)ポーラ「-AGEBILITY-楽しもう。生きた分だけ、未来は面白い。」は花の美しさを秀逸なアングルで切り取り、なおそれらをバランスよくレイアウトした優れたグラフィックデザインで気持ちを和ませてくれます。
優秀賞:「世界水泳FUKUOKA2023 本日開幕。」は片側からのライティングが象徴的にスイマーを浮き上がらせて見事。「SHIFT80@KIBERA」もあえて危険そうな場所でのファッション写真がドキュメンタリー風で新しく感じました。(株)COC「SNOW」はお菓子を使った楽しげなスチルライフでお菓子以外の背景もよく考えられていて素敵です。
美しい日本賞:広島県廿日市市は見せたい被写体をわざと小さく撮影する事によって集中効果を生み、更にその環境の壮大さを効果的に写し込ませるという心にくい技です。
審査委員長 白鳥真太郎賞はあえてオーセンティックな美しさで「青木涼子 現代音楽×能」を選びました。他の審査委員賞は各氏に委ねましたが、総じて素晴らしく良い結果だったと思います。
白鳥 真太郎
公益社団法人日本広告写真家協会
会長