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APAアワード2023 広告作品部門 講評



昨年よりAPAアワードではWEB応募とオンライン審査(最終的に残った作品はプリント審査をしましたが)を行いました。入賞・入選の皆様、本当におめでとうございました。
コロナ禍、ウクライナ紛争、円高等々の影響で応募点数は大きく減るのかと心配しておりましたが、まずまずの応募数でホッとしています。
経済産業大臣賞 : キム ヤンス氏「飛騨牛養老ミート50周年」は意表をつく牛の3分割にビックリしました。そしてよく見ると背景の山並みとの一体化と凝りに凝ったアイデアが秀逸で、黒い塊である牛のシズルもリアルです。多くを語らず、だからこそ胸に響いてくる作品でした。
APA特選賞:皆川 聡氏「JR東日本『行き先は、新しい未来。』」は、美しい新幹線の鼻先に乗るという大胆不敵な発想とモデルの衣装と新幹線カラーのマッチングが見事です。
美しい日本賞:児玉晴希氏「マテリアル・マルシェ」は、美しい日本のおもてなしの姿を借りて硬質なマテリアルを表現する奇抜なアイデアで楽しませてもらいました。
優秀賞:山崎彩央氏「サントリーホールディングス GOROCHA」は、どこか懐かしいアメリカの50年代のトーンがチャーミングですが、これが今の若い女性達に新鮮に映るのかもしれません。
同じく優秀賞を受賞した同氏の「FAR magazine『(NEW) PARTY』」はブレとボケによる色彩の踊りが美しく思いました。
優秀賞:細川 晃氏「2022年 無印良品キャンプ場ポスター『水と枝』」は、砂地を水に濡らした(?)影のようなシズルにキャンプ場に落ちていそうな木や枝を置いただけのシンプルな構成ですが、かえってキャンプ場ならではのシズルに満ちています。騙し絵のようなグラフィックも楽しいです。
各審査委員賞も個性的に選ばれていて広告写真の表現の幅の広さを実感させてくれます。人物、シズル、スナップ的なものやスポーツ等々、今年も広告写真の未来はまだまだ期待出来そうな気がいたしました。

白鳥 真太郎

白鳥 真太郎

公益社団法人日本広告写真家協会
会長