今回はAPAアワードで初めてWEB応募とオンライン審査(最終に残った作品はプリント審査をしましたが)を行いました。入賞・入選の皆様、本当におめでとうございました。
昨年はコロナ禍の影響でアワード史上初めての中止となりましたが、今年は一昨年の約150%増しの応募点数で大変嬉しい結果となりました。システム刷新に尽力したアワード事業部員の皆様にも御礼を申し上げます。
私が感じたのはコロナの影響なのか、紙媒体が減ったせいなのか、いわゆる大企業の莫大な予算をかけたビッグビジュアルがあまり多くなかったという点です。希望的にはコロナ収束後、昔ながらに戻って欲しいと思いました。
経済産業大臣賞は、元 圭一氏の株式会社パルコ広島店のポスター「こころまでステイしてたまるか。」5点組です。この自然体のモデルの表情を捉えた作品は、APAアワード初めてと言ってよい力の抜けたシンプルな美しさです。その場の空気の匂いまで感じます。特選賞は長野柊太郎氏の公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団の「醸化する音楽会ポスター」6枚組作品です。前述のパルコとは対極の、お酒を使って楽器を表現するというアイディアとテクニックには圧倒されました。
美しい日本賞は経済産業大臣賞とダブル受賞の元 圭一氏。パルコと同じ作家とは思いもつかない重厚さが魅力的です。このように様々な表現が出来るのも広告写真家ならではの技術です。他にも優秀賞の富取正明氏の軽快な「ヤマト運輸 オリパラトラックラッピング」、二瓶宗樹氏の重く恐ろしい原爆をイメージする「HIROSHIMA APPEALS 2021」、まゆみ瑠衣氏の髪の毛で表現した「日華化学 Hair & Scalp Treatments」等々、今回の入賞・入選作品には大きな振り幅があり、シンプル、重厚、軽快、シリアス、アート志向といったバラエティー豊富な作家が沢山いる事が大変喜ばしく、今後の広告写真界が更に活性化される事が感じられます。
白鳥 真太郎
公益社団法人日本広告写真家協会 会長