INTERVIEW apa-master

【特別企画】20代 若手カメラマンの“現在”を聞く

デジタルネイティブ世代のカメラマンは、日々写真と向き合いながら、どのような考えを抱き、どのような課題に直面しているのか。プロフェッショナルへの転向、そして今後さらなる活動を目指す20代のカメラマン4名に、5つの質問に沿ってお話を聞きました。

〈インタビュー参加者〉※仮名 (年齢/ご職業/愛用カメラ) 

  • ハルさん(20 /専門学生 / Canon Kiss 10)
  • アサヒさん(27 / フリーランス / Nikon Z 7II
  • ツカサさん(27 / 出張カメラマン、アルバイト / Canon EOS R6
  • イブキさん(27 / フリーランスフォトグラファー / Canon EOS R5FUJIFILM GFX 50S II

―はじめに、数ある表現の中から、写真を選んだ理由を教えてください。 

ハルさん:小学生のときに初めてカメラを買ってもらってから、自分の人生になくてはならない存在になりました。写真はどんな思い出も鮮明に残すことが出来るし、表現の可能性も無限大。どんなテーマや構図にも気軽に挑戦できることに魅力を感じています。

アサヒさん:ディズニーランドを撮りたくて、写真をはじめました。平面的なものですが、音や匂いなどすべてを想像させる力に惹かれています。

ツカサさん:水族館で撮影のアルバイトをしていたことがきっかけでこの業界に入りました。写真は、その時の空気感を瞬間的に閉じ込めて手元に残すことができる。写真ならではの強みをもっと極めたいと思い、プロを目指すようになりました。

イブキさん:将来についてふと考えたとき、目の前にカメラがあり、直感的にカメラマンへの転身を決めました。一瞬にすべてを注ぎ込むと良いものが作れることにやりがいを感じています。


APA AWARD 2023 
写真作品部門 学生賞 吉 佐華氏 撮影 『My Dream』

SNS上でも活動するカメラマンとして、「SNS映え」についてどう思いますか。

ハルさん:作品を拡散してもらうには、SNS映えする写真はある程度必要。自分たちの世代には必須な概念だと思います。映える写真をつくるのは意外と簡単だけど、個性をアピールするところまでは至れない。流行と自分のスタイルが拮抗するのが課題です。

イブキさん:最近はSNS映えを狙わなくなりました。映える写真は「いいね」が増えて自己肯定感が高まりますが、撮りたいものを自由に撮っている今の方がずっと楽しい。似たような写真が増えて全体的に個性がなくなってしまうのも問題。 

―現在はスマホで誰でも写真が撮れる時代ですが、自分にしかないカメラマンとしての強みはなんですか。また、今後どのような強みを伸ばしていきたいですか。 

ツカサさん:写真が苦手な人でも、自分に自信を持ってもらいながら撮影できること。被写体の魅力を存分に引き出すべく、その人にあった構図や雰囲気を、コミュニケーションをとりながら調整するよう心がけています。 

イブキさん:「上手な写真」ではなく、「いい写真」を撮りたい。常にこの指針を忘れないで、カメラをかまえています。ただの綺麗な写真で終わらせない、人間のバックボーンや過去の記憶、想いなどを込めて、人の心に刺さる作品を制作していきたいです。

APA AWARD 2023 
写真作品部門 入選 ヨシダキヅク氏 撮影 『明るいまち』
(アイキャッチ画像も『明るいまち』より抜粋)

―今後、プロフェッショナルに転向する上で、どのような課題がありますか。

ハルさん:現在、自分の写真を評価する際の評価軸が、自分が納得しているか否かと、SNSの「いいね」数しかなく、どちらも信用できません(笑)先輩から批評いただきたいところですが、人脈がない……

アサヒさん:金銭的な面が課題です。「こういう作品が撮りたい」と思っても、必要な機材が購入できない。コンペに参加しようと思っても、高額な機材を使用している人と競わなくてはいけない。機材の値段で写真の質がどのくらい変わるのか、実際のところはわからない。でも、精神的にダメージを食らってしまうことは確かですね。

ツカサさん:カメラマンから写真家になるためには、自分の色を持つことが必要。好きなものや譲れないものを自己分析して見つけ出さないといけない。わたしの場合、そこがまだ曖昧で、経験を積んで探り当てることが、目先の課題ですね。

―最後に、日本広告写真家協会へのイメージを教えてください。若手カメラマンとして、協会に期待することなどあれば教えてください。

ハルさん:敷居が高くて、自分とは別世界のようなイメージがあります。期待することとしては……若手を支援するクリエイター奨学金のような制度や、年齢制限のあるコンペティションの開催などがあったら、ぜひ応募したいなと思います。 

イブキさん:第一線で活躍している方々の集まりという印象があります。若者はまだ介入できないような……(笑)若手は展示をすることがときに難しかったりするので、期待の新人をピックアップした写真展を定期的に開催などしてもらえたらすごくありがたい。同世代で活躍している方の作品に触れたいし、縦だけでなく、横のつながりもつくりたい。ぜひ、よろしくお願いします! 

―参加者の皆さま、ありがとうございました!

 

APAは、優れた広告作品と新しい作家の発掘を目的にAPAアワードを毎年開催しています。
2022年から2023年にかけて、10代の応募数は約2倍、20代は約1.5倍増加するなど、近年は若年層からの応募も多数受け付けております。
写真作品部門の今年のテーマは「記録と記憶」。
応募期間は2023年9月1日(金)~9月30日(土)です。
若手カメラマンの皆さまからのご応募、心よりお待ちしております。

APAアワード2024の詳細はこちら

 

ハルさん
年齢:20
ご職業:専門学生
愛用カメラ:Canon Kiss 10
カメラマン歴:2
将来撮りたいもの:動物、風景
憧れの写真家:蜷川実花

アサヒさん
年齢:27
ご職業:フリーランス
愛用カメラ:Nikon Z 7II
カメラマン歴:1
将来撮りたいもの:広告写真
インスピレーション:映画

ツカサさん
年齢:27
ご職業:出張カメラマン、アルバイト
愛用カメラ: Canon EOS R6
カメラマン歴:2年半
将来撮りたいもの:人、ファッション
参考にされるYoutuber:さるさんカメラ

 

イブキさん
年齢:27
ご職業:フリーランスフォトグラファー
愛用カメラ:Canon EOS R5 / FUJIFILM GFX 50S II
カメラマン歴:5
将来撮りたいもの:グラビア、ファッション
よく見るウェブサイト:Profoto―ライトシェーピングカンパニー